2018年11月15日(木)福岡マリンメッセで開催された、宇多田ヒカルのライブ「Laughter in the Dark」に行ってきました。
※ライブのネタバレを含みます。
宇多田ヒカルの曲は好きで、昔からよく聞いていました。
ですが、めちゃくちゃハマっていたわけではなく、気になる曲があったりアルバムが出れば聴くという程度。
活動再開を経て、最近また良いなあと思い始めたのは、NHKの「SONGS」で歌っているのを見た時。
神々しい雰囲気に圧倒されたのを覚えています。
それを見たくらいから、一生に一度は生でライブを見てみたいなあと思いはじめたのですが、ここまでのアーティストなので、多分チケットの争奪戦は必至。機会はほとんどないだろうとも思っていました。
あるとき、なにげなく宇多田ヒカルの情報を調べていたところ、今年2018年に全国ツアーを行うとのこと。
そして、その2018年のツアーはちょうど予約受付中のタイミングでした。
宇多田ヒカルはライブ自体をあまり行わないアーティストなんですね。
国内のライブでは2010年の「WILD LIFE」以来8年ぶり、全国ツアーは2006年の「UTADA UNITED」以来12年振りなのだとか。
これはレアだし、みんな行きたすぎるのでは?
抽選の倍率は半端なさそうですが、申し込むしかない!
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予約編
ライブは公式サイトで予約する仕組みです。
当然、抽選。
こういう抽選モノって全く当たらない僕なのですが、ダメもとで申し込み。
その予約、申し込みのハードルが高くて驚きました。
顔写真の添付が必須で、同伴者の顔写真も必須です。かなりの転売対策が行われている印象。
受付最終日にギリギリで申し込みました。
あとは運を天に任せるのみ!
数日後、抽選結果を知らせるメールが届きました。
タイトルだけでは分からないメール。
ダメだろうなあと期待しないで中身を見てみると、
お、
おお?
当選!!!
なんと当選しました!!!
申し込みのハードルが高ったので、本当に行きたい人しか申し込まなかったのかもしれません。
今までのクジ運の悪さをここで回収!!
ライブの感想まとめ!
というわけで、ここからは「行ってきたレポート」のまとめです。
ちなみに、僕はここ十数年、B’zのライブしか行ったことがありません。
なので、比較はB’zのライブとしかできないのですが、アーティストによって当然、ぜんぜん違うのだなあと実感してきました。
入場がハイテク
チケットは紙ではなく、デジタルチケットが発行されます。
それをスマホで表示して入場時に提示します。

キャプチャだとNGなので、入場前にオンラインにつないでチケットをブラウザに表示する必要があります。
僕はLINEモバイルを使っているので、人が集まる場所でのアクセスは不安だった(ランチ時などは重いので)のですが、会場周辺でも問題なく接続できました。
入場時は係員さんにスマホを提示すると、チケットのQRのスキャンと同時に「ここを見てください」と、小さなカメラを見るように促されます。
認証は一瞬で完了。「はい、お通りください」と、あっという間に通過することができました。
簡単すぎて、拍子抜け。
ほとんどの人はすんなりゲートを通過できていましたね。すごい仕組み……。
開演前の会場が静かすぎる
会場に入って驚いたのが、入場後のアリーナ全体がとても静かなこと。
会場にはBGMはいっさいかかっておらず、人がざわざわしている音と、係員の方の注意を呼びかける声が聞こえてくるだけ。
B’zのライブだと洋楽がガンガンに流れていて、それが途切れたら開演が近い! みたいな雰囲気なので驚きました。

そして、開演時間が近づくにつれて、会場がだんだん静かになっていく緊張感よ。
これからどんな形で始まるのか見逃すものかというヒリヒリ感が会場に張り詰めていった感じ。
最終アナウンスが流れた後は、いつどういうスタートをするのかステージから目が離せない。
これには独特の空気がありました。
ステージ上はめちゃくちゃシンプル
ステージには大きな白い段差があり、そこにはバンドの機材しか置いてありません。
ステージ背景には、白いスクリーンが降りているのみ。
オブジェなどもなく、両サイドに大きなスクリーンが4枚設置してあるのみ。
ともすれば殺風景に見えますが、潔さすら感じるステージです。

「Laughter in the Dark」というツアータイトルが表すように、暗闇なんだから装飾なんかは必要なく、余計なものはいらない、ということなのかもしれません。
そういえば、ツアータイトルのロゴもほとんど装飾がない、めちゃくちゃシンプルなものなんですよね。
1曲目は座って聴いた
最終アナウンス後、両サイドからバンドメンバーがゆっくり登場。
最後にステージ下から本人がせり上がって登場。
宇多田ヒカルって本当にいたんだ……。

はじまりは、「あなた」から。
この曲では、会場全体が静まりかえっていて、みんな座ったまま微動だにせずに聴いていたのに驚き。
有無を言わさずまあそこで聞いておれ、というようなパワーがありました。
あれ? 最後まで座って聞く系のライブなの? と思いましたが、2曲目の「道」からは立ち上がれる雰囲気に。3曲目の「travering」で一気に会場を暖めましたね。
4曲目以降のセットリストと感想は、さらに下の段落にまとめました。
シンプルなライブ
ライブ自体を一言で表すと「シンプル」。
派手な演出は一切ナシ。
完全にバンドと歌だけで魅せるステージでした。
各曲に合わせて、背景のスクリーンに映るCGが様々なパターンに切り替わる仕組みでしたが、それも抽象的なものが多い。
ダンサーと絡んだ2曲ほどありましたが、それもダンサーは1人で、現代アートのような雰囲気。
衣装もステージを通じてモノクロを基調としたもので、シンプルさを徹底していたように思えます。
全体を通して感じたのは「静」を感じるライブで、ただただストイック。
ノリの良い曲も聴かせる曲もあるのですが、拳を振り上げて楽しむ! というよりは、完全に宇多田ヒカルの「歌」を聴きに行く場でした。振り付けが決まっている曲もなく、観客は手拍子がメイン。
歌っている姿は、神々しくて孤高という言葉がピッタリで、昔のノリの良い時期の宇多田ヒカルを経て、大人になった宇多田ヒカル第二章を見ている気持ち。
観客もじっくり曲に聴き入って、声の一部も聞き逃したくない、周りの人もそんな雰囲気だったように思えます。
音響も広い会場の割には声がよく聞こえて、宇多田ヒカルの持ち味であるビブラートをしっかり聞き取ることができました。
その反面、MCではめちゃくちゃラフ。
はにかんだ「えっと」とか「あれ、これで大丈夫だよね、ウフフ」とライブの進行を確認したりと、力の抜けた感で一気に間合いを詰めてくる人懐っこさもあり、そのギャップも魅力なんだろうなあと。
ストイックな歌と、緩いMCの絶妙な関係性が繰り返されて進行するステージでした。
後半には、センターステージに一人で登場して3曲ほど披露。
あの機材スペースがステージになるとは……。このセンターステージが、曲のリズムに合わせて光る(鼓動する)のが美しすぎて、これが天国かな? って思いました。
4方向をゆっくりぐるぐる回りながら歌ってくれたのが良かったですね。
しっかり笑いも取る
突然スクリーンで始まった、ピース又吉氏との対談ムービー。
ツアータイトルである「Laughter in the Dark」の意味を真剣に話していると思いきや…。
歌だけのストイックなステージが続いていた中で、突然のこの映像には進行を緩和させる役割もあったと思います。
これはきっと映像作品に収録されると思うので、僕が説明するより実際に見てほしいヤツです。
本人もバックステージで、会場がざわついたのを聞いて、しめしめと思ったそうで。
ライブはスマホ撮影OK
なんとこのライブはスマホ撮影OK!
席はスタンド席だったのですが、上からアリーナ席を見下ろすと、かなりの数のスマホが客席で光っていました。
ずっと点灯したまま動かないスマホも多くて、多分ずっと録画しっぱなしなのだと思います。

ライブ後にTwitterでハッシュタグ検索をしてみると、当然、会場のいろんな場所から撮影した写真がたくさん流れてきたのですが、これを見ながら「ライブを補完してくれる効果」があることに驚きました。
自分は同じ位置からしかステージを楽しむことができないのですが、自分の席以外から撮影した写真を複数組み合わせることで、多面的に思い出すことができるのです。「ああ、この位置からはこんな感じで見えるのか」と、ライブが終わってからハッシュタグで振り返る時の没入感がすごい。
撮影OKということは、SNSでの拡散効果を狙ってのことだと思いますが、宣伝効果はもちろん、ライブに参加した人が思い返すことにも使えて、「よりライブの印象が強くなる」効果が狙えると感じました。
結果としてめちゃくちゃ「記憶に残るライブ」になっています。
今後いろんなアーティストが撮影OKにシフトしていくのではないかな?
↓「#laughterinthedark2018」がついたツイートへのリンク
https://twitter.com/hashtag/laughterinthedark2018?f=tweets&vertical=default&src=hash
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セットリスト
セットリストは、「初恋&Fantome」の代表曲+ベスト選曲という最強の布陣。
聞きたい曲はみんな聞けた、満足度が高いセットリストでした。
1. あなた
最初のワンフレーズで一気に会場の雰囲気を持っていきました。スタートの緊張感で記憶が曖昧だからもう一回聴きたい。前述したけど、この曲はみんな座って聴いていたんですよね。
2. 道
濃厚な1曲目から、明るい2曲目へ。ここで会場全体がスタンディングへ。
3. travering 4. Colors 5. Prisoner Of Love
ここからは往年の名曲が続きます。
「Prisoner Of Love」、かっこよすぎた。ライブ版は音が重くて良かった!
6. KISS & Cry 7. SAKURAドロップス 8. 光
「SAKURAドロップス」と「光」も聴きたかった曲。3曲目から8曲目までの選曲、最高じゃないですか。
9. ともだち 10. Too Proud
この2曲はダンサーと。一転して、ちょっと大人っぽい雰囲気に。
〜又吉ムービー〜
11. 誓い 12. 真夏の通り雨 13. 花束を君に
ここからセンターステージでしっとり聴かせる3曲。ムービーの直後だからビン持って出てきてほしかったですね。
「誓い」は、光の演出の良さも加わって、CDで聴くより100倍良かった。そして「真夏の通り雨」が改めて良かった。なんだろうこのアンニュイな良さは。
14. Forevermore 15. First Love 16. 初恋
「First Love」と「初恋」という、同じ意味の曲を並べてくるとは。
「初恋」の曲途中でサビ前に音がなくなるところが鳥肌すぎた。5〜10秒くらい? 会場全体が動けなくなった瞬間。
17. Play A Love Song
「つぎの曲で最後です」というMCを聞いたあとに流れたイントロでほっと安心。この曲は絶対聴きたかったんですよね。この曲が一番最初か最後の曲だと思っていました。
アンコール
会場の拍手が鳴り止まず。
最初は各人がまばらに拍手をしていたのが、いつのまにか手拍子になっていくのが鳥肌。
18. 俺の彼女
ライブTシャツに着替えてアンコール一曲目。
すんごいワイルドなイメージ。
19. Automatic
この曲をですね、生で聴ける日が来るとはですね。
20. Goodbye Happiness
ああ〜ほんとうに最後の曲になってしまった!
最後に3方向に丁寧にお辞儀をして、名残惜しそうに退場していく姿が印象的でした。
宇多田ヒカル語録(MC)
「同じ場所で2日間の開催って少ない。ようやく会場に慣れてきたと思ったらもう終わり」
「今はこんなにたくさんの人の前にいるのに、ホテルに帰ると一人になるギャップ」
「人前に出るのがイヤな時期もあったけど、この光景を見るともっとライブをやれば良かったと思う」
「面倒なチケットの申し込みをしてくれてありがとう」
「こういうこと、ですよね?」
おわりに!
ライブが終わってから数日たちましたが、油断すると頭の中に宇多田ヒカルの曲が流れはじめて、完全に余韻に浸っています。
ライブ全体を通して、ステージも演出もシンプルだっただけに、印象に残っているのが「宇多田ヒカルの存在のみ」みたいになって、逆に強烈に記憶に残る感じがスゴイ。
ライブって、また人生を頑張るかーって力をくれる場だなと改めて感じました。
ダメ元で申し込んでみて本当に良かった!
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