【読書感想文】伊坂幸太郎マリアビートル

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「グラスホッパー」の数年後の設定。
グラスホッパーも読んだけど、ほとんど覚えていない僕にも楽しく読めました。

あらすじ(Amazonより引用)

幼い息子の仇討ちを企てる、酒びたりの元殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。闇社会の大物から密命を受けた、腕利き二人組「蜜柑」と「檸檬」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の車内で、狙う者と狙われる者が交錯する――。小説は、ついにここまでやってきた。映画やマンガ、あらゆるジャンルのエンターテイメントを追い抜く、娯楽小説の到達点!

出てくるのはほぼ全員裏稼業(いわゆる殺し屋)の方々。
舞台は移動する新幹線の中。

それぞれがそれぞれのミッションを遂行しようとする中で、狭い新幹線の中でストーリーが進行していきます。

登場人物全員、裏稼業の通称がついているのですが、そのネーミングセンスが素敵。

伊坂幸太郎と言えば、物語の中で音楽だったりロックバンドがキーワードになっていたりするわけですが、今回キーワードになるのは何故か機関車トーマス。何気ない会話の中に伏線が貼られています。

終盤、そのトーマスの「裏切り者のパーシー」のやりとりを使って、とある人物が追い込まれていく心理描写には心拍数が上昇しました。ほのぼのとした世界観の機関車トーマスの、優しい日本語が逆にとても怖い。あ、間違った…?と足を踏み外して奈落に落ちてしまいそうなぞわっと感。必見。

文学好きな殺し屋の蜜柑さんは、本当に怒ると「小説の一部」を引用して、その怒りを淡々と表現しようとします。ああ、ここで来たか!となるシーンは鳥肌モノ。おお、怒ってる怒ってると。

狭い室内でのバトルシーンも圧巻です。新幹線を舞台にした甲斐があるってものですね。
特に新しい敵に遭遇した時の、急に始まる戦闘はカッコよすぎて思わず2回読み返してしまった。

この手も小説は、頭の中でどの役者さんだったらハマりそうかなー、という想像をしながら読むのが楽しいのですが、蜜柑と檸檬のビジュアルが、イマイチ浮かんできませんでした。
そんな中、どこかのブログで蜜柑はオダギリジョー、檸檬は浅野忠信がハマりそうって言っている人がいて、ああなるほどー!と。特にオダギリジョーは良いな。

展開が分かりやすく、疾走感がある展開のこの物語。登場人物も個性的なので、ビジュアルを想像しながら楽しめる作品だと思います。
続編「AX」も読むのが楽しみであります。

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