映画「海獣の子供」。「考えるな、感じろ」の精神で、圧倒的な情報量を持つ映像を堪能してきた。

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映画「海獣の子供」を見てきました。

前情報を全く入れずに観た感想です。
できるだけネタバレを含めずに書きましたが、情報を入れたくない方はご遠慮ください。

考えるな、感じろ

観終わった後に爽快感があるわけではなく、どちらかというと「これはなんだったんだ……」と呆然としてしまいました。

正直、途中から、「宇宙と人間は同じ物質でできている」「人間とは?」みたいな概念の話になって難解になり、ついていくのをやめましたw

何が何を表しているのかとか、この人は何の象徴なのかとか、多分突き詰めていくといろんな意味があるのでしょうけど。

その分、圧倒的な映像によって有無を言わさず「考えるな、感じろ!」と言われているような物量が持つパワーを楽しんできました。畳み掛けてくる情報量に、何も考えずに押し流されるのが良いと思います。
観終わってからも、頭の中で映像の端々がフラッシュバックするような美しさや迫力だったりが残ります。

SNS全盛の世の中で「わかりやすさ」が求められる中、このような抽象的な内容の映画はかえって貴重な気もします。

その他、雑感をポイントでまとめてみます。

映像がめちゃくちゃキレイ

特に海の表現や、魚群の描き方は圧巻です。砂浜の水が行ったり来たりする様や、カニなどのちょっとした生き物の描写も素晴らしい。
キャラの目に海や魚のキラキラ感が映る表現が多かったのですが、そこもキレイで美しかった!

また、これは原作の表現をそのまま持ってきたのかな? と感じるペンの独特のタッチの表現もあり、それが独自の世界観を作っていたと思います(ちらっと原作の漫画を見てみたのですが、なるほど、タッチが独特でした)。

田舎の雰囲気の描き方が素敵

経年劣化した看板やコンクリートの表現が素敵なのです。
たまにCGを使っている部分に感じる違和感(妙にスムーズに動く電車など)はあったけど、世界観の構築は見事だったと思います。

米津玄師の主題歌のハマり具合

主題歌、良かったですねえ!
主題歌には歌詞が字幕で表示されていたのですが、これも珍しいことでは?
映画とリンクしたメッセージがあるからこその字幕登場だったと思います。

芦田愛菜、稲垣吾郎がお見事

前情報を全く入れなかったので、もちろん声優陣のことも知らなかったのですが、あれが芦田愛菜だったとは。全く違和感がありませんでした。感情がこもりすぎでもなく、淡々としたキャラクターの雰囲気に合っていたと思います。

また、稲垣吾郎の名前を見たときには、あまりにも自然すぎて、え? 誰役? と思うほどの馴染み具合。彼が声優をやっていたイメージはありませんが、こういう仕事もできるのだと驚きました。

ジム(おじいさん)や組織の人(?)の存在意義がよく分からなかった

ジムは味方のようだったし、組織の人は何かを企んでいた描写はあったけど、イマイチ主線に絡んでこず、その存在感が希薄だったかなと感じました。
珍しいものを利用しようとする人たちが少なからずいるってことを表したかったのかな?

内容はよく分からなかったけど、見て良かった

振り返ってみると、あれは本当は夢だったでのでは? と、とある女子高生の妄想で終わらせられそうな話で、現実とそうではないもとの曖昧さとか、人間とは宇宙とはみたいなものがごっちゃになりますね。もう、ある意味いろんなものがカオスなのであります。

ストーリーは途中から抽象的になり、いろいろとごちゃごちゃになってくるんだけど、まあごちゃごちゃでいいか、と、理解するのを止めましたが、それはそれで良いかとも思います。

敵を倒してよかったねで終わるわかりやすい映画もよいけど、この映画のように何か引っ掛かりを残してくれる映画もよいなと感じました。

とにかく不思議な何かが残る映画だったことは間違いありません。

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